元気出せの巻老人とりんご
りんごは焦っていました。老人の元気がないのです。
老人は何か音がするたびに、ポストに行っては、とぼとぼ戻ってきます。
りんごは老人のためにきのこを取ってきました。
渡しましたが、食べてくれません。
仕方がないからオレンジにあげました。
りんごはらぼを開きました。
ぐつぐつぐつ。
ことことこと。
老人はぼおっとそれを見ています。
その時です。鳥の糞がオレンジに落ちました。気の狂ったオレンジは機材へ突っ込みました。
ぼん。大爆発です。
老人は真っ黒こげになって、きれいに仕立てられた服はボロボロです。
老人の目が膨張して、ぎらぎらと燃えました。
りんごは逃げました。
老人は追いました。
ああ、さっきまでの元気のなさはどこへいったのでしょう。
りんごはあっという間につかまって、杖でごんごん殴られます。
杖がばき、と折れました。
終わりか、と思ったら今度はこぶしが飛んできました。
ぼこ、ぼこ、ぼこ。
止まりません。
こうなればりんごも黙ってはおれません。
りんごは老人を殴りました。
けっこう、効きました。
りんごの腕は柔らかいが、芯は固いのです。
老人も負けじとやり返すのでした。
翌日、老人が目を覚ますと、目の前にりんごがおりました。
老人は自分とおんなじぐらいぼこぼこになったりんごの顔を、じいーーーっとにらんで、言いました。
「ざまみろ、ばか」
りんごは老人に顔をくっつけて、キスのまねをしました。
