お出かけの巻老人とりんご

老人が部屋で手紙を読み返していると、りんごが老人の袖を引っ張りました。そのまま、クローゼットへ。
りんごはクローゼットのノブに手を伸ばしましたが、ぜんぜん届きません。
老人がノブを引いて、扉が開きました。たくさんのコートや帽子が並んでいます。
りんごはその中から、老人に服を選びました。かっこいい黒のコートと中折れ帽。老人の白い髪がよく映えます。
りんごは鷲の頭が付いた杖を老人に渡しました。
りんごがれもんを切って水筒に入れ、お水を注ぎました。
老人はコートに合う服を選びました。りんごは玄関で待っています。
りんごは玄関に来た老人に、鷲の頭が付いた杖を渡しました。
おでかけです。

公園に着きました。
大きな池があって、鳥がたくさんいる素敵な公園です。
美味しそうなジェラートが売っています。
りんごがじっとそれを見ていると、老人がジェラートを注文しました。
老人がお金を出そうとすると、りんごは懐からおおきな松ぼっくりを出しました。
このあたりでは見たこともない大きさです……。
お店の人は松ぼっくりをもらって、老人はカシスのジェラート、りんごは真白なジェラートをもらいました。
老人はジェラートを舌でなめとり、りんごはジェラートを顔にくっつけては離して、顔に塗りたくりました。
老人はりんごの顔についたジェラートを指ですくって、食べました。

池にボートがつながれていました。
老人が船守さんにお金を出すと、りんごは嬉しそうに葉っぱを揺らしながらボートに乗り込みました。
りんごは一生懸命漕いでいますが、ボートは思ったように進みません。
老人がオールを取ると、すいすいすい。
りんごは感心して老人のオールさばきを見ていましたが、そのうち老人が漕いでいることも忘れて、すぐ上を飛んでいる鳥の群れを見ていました。
びゅうと風が吹いて、老人の帽子が飛んでいきました。
りんごはとっさにボートから身を乗り出して、手を伸ばしましたが……あっという間に池に落ちました。
りんごは浮かびました。
ぷかぷかぷか。
鴨が寄ってきました。鳶も寄ってきます。
賢く親切な烏が帽子を取って、りんごの上にのせました。

休憩所に手づくりのものが売っていました。
そのなかに、木でできたばっじがありました。
りんごはりんごのばっじを老人にねだりました。
老人は木箱にお金を入れて、ばっじをりんごに渡しました。
老人はベンチに座り、ふうとひと息。
りんごは老人の胸に……帽子に、りんごのばっじを付けました。


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